万田坑跡・万田坑ステーション その4

 

第二竪坑巻揚機室は、明治42年竣工で、竪坑への昇降を行うためのケージ巻揚機が設置されています。

 

ケージ巻揚機は原動機、ワイヤロープ(直径36mm)を巻き付ける巻胴、深度計、安全装置、運転台で構成されており、ワイヤロープが櫓へと渡されていました。

 

 

巻揚機室入口には、石炭とボタの比重を体感できるように、実物が置かれていました。

 

石炭はものすごく軽いんですが、燃料として利用できない岩石・ボタは、ズッシリ重たいです。ボタは利用価値がありませんので、万田坑関連施設の基礎に敷いたりと、建築用資材として用いられたそうです。

 

 

巻揚機室にはいるためには、ヘルメットの着用が義務づけられているとのことで、スタッフの方からヘルメットを手渡されました。

 

 

巻揚機室の中二階に設置されている、万田二坑ウインチです。重量物(機材)をひきあげるためのウインチで、巻き付いているロープは46mm、長さ500mあります。この下方にジャック・エンジンがついています。巻揚機室運転台と、坑口、坑底間で、ベルでの合図や電話などを用いて、連絡を取り合いながら運用されていました。

 

巻揚機の運転は、約1分~1分半かかったそうです。ブレーキは空気圧搾式で、巻揚機室1階に圧搾空気のタンクがありました。

 

 

中二階に設置されている、イギリス製のジャック・エンジン。蒸気発電時代から設置されているものです。

 

 

万田坑竪坑作業信号規定。ベルでの合図に使ったものと思われますが、長さの単位が尺になっています。

 

 

巻揚機室の二階にある運転台。各種スイッチ、レバー、電話機などがあります。

 

 

上の赤字のものが深度計。坑底にあたる深度264mまで目盛りがあるのがわかります。

 

右下のものがロープ速度計。下のは電流計でしょうか。

 

 

巻揚機室2階にある、炭鉱作業員を運ぶためのケージ用巻揚機。中二階にある機材運搬用ウインチよりも、かなり大型です。

 

 

地元の方が、万田坑を世界遺産として残そうと、荒尾市の各所で世界遺産登録を目指そうと呼びかける看板が、各所に設置されていたものです。その努力が実を結び、貴重な産業遺構が失われずこうして見ることができるわけで、感慨深いものがあります。

 

三井三池炭鉱・万田坑の歴史を学びたいという人だけでなく、廃墟見学や工場見学が好きな方も、楽しめる場所ではないかと思います。