北里柴三郎記念館を前回取り上げさせていただきましたが、今回は同じ敷地内に隣接して建っている、貴賓館をご案内させていただきます。
貴賓館は北里文庫と同時期に建てられました。北里先生が帰省した際の住居として用いるほか、郷里を訪れた来賓をもてなす場所として作られた木造2階建ての建築物で、大正5年に完成しました。
大正5年8月10日の落成式には博士一家で参加し、数日滞在なされたということです。
小高い場所に建っていることもあって、2階の客間から村落を一望できるほか、小国富士と呼ばれる湧蓋山(わいたさん)も見ることができます。
建物の作りとしては華美さはないものの、造作の作り込みが細かく、来賓を迎え入れるための建物として作られただけはあると感じ入りました。
光るえんがわ。北里柴三郎先生が8歳の頃、教育のため伯母の嫁ぎ先であった小国郷志賀瀬村の橋本家に預けられ、四書五経を学ばせられました。
そのとき橋本家の縁側を柴三郎先生がぴかぴかになるまで毎日拭き続けたという話は、熊本県の小学1・2年生の道徳の教科書「くまもとのこころ」にも掲載されました。
橋本家から実際のえんがわの一部を預かったそうで、こうして展示してありました。
床の間の違い棚には、当時の写真や手紙などが飾られていました。天袋のふすまには柄などは見られず、上質でありつつも飾り立てない質素な作りが、印象的な建築物でした。
北里柴三郎記念館を訪れた際には、ぜひともこちらで100年前に北里先生が眺めたのと同じ景色に思いをはせてみてはいかがでしょうか。