老神神社は、鹿児島の霧島神社を勧請したと伝えられていまして、社殿は人吉藩主であった相良氏により造営されました。創立年代は不明ですが、相良一族が古くから産宮と信仰してきた神社であり、もともとは山深い所に小さな祠があるだけだったそうです。
拝殿の右側に繋がっている建物が神供所で、これがあるのが球磨・人吉地方の神社に見られる特徴となります。
図示するとこんな感じです。老神神社の現在の姿は、もともと鍵状の建築物だったものを、近年切り離したものです。現在は桟瓦葺になっていますが、かっては一連の茅葺屋根となっていました。
なお、神供所とは、神様へのお供え物を整えるための場所といわれています。
茅葺きの覆屋と、その中に護られている入母屋造りの本殿。建築は江戸中期の1625年頃といわれています。鉄柱で保護されているのは、文化財保護の観点からは仕方がないことですね。
本殿は内外ともに漆で塗られており、彫刻に彩色を施されています。江戸時代前期の神社本殿を代表する建築物として、平成2年9月11日に国の重要文化財に指定されています。
通常は参道をはさんで一対で建てられる石灯籠ですが、こちらは人吉球磨地方では見られない珍しい建て方で、参道の真ん中に建てられています。
灯籠は四角、六角、円形が多いのですが、こちらは基礎から笠まですべて八角形になっています。このような八角形の石灯籠は青井阿蘇神社でも見られます。
この老神神社は西南戦争のときの弾痕が残る神社としても知られていますが、例によりまして弾痕が発見できず・・・。
移築したさいに板壁の下半分を取り替えているため、現在では上部に12カ所の弾痕が見られるということです。
御祭神:瓊々杵命、木花咲耶姫命、彦火々出見命、火照命、火須勢理命、豊玉姫命
例祭日:11月26日
境内社:菅原神社、弁財天社、稲荷神社、淡島神社
人吉球磨地方を代表する、江戸時代の貴重な神社建築となります。繊月酒造のすぐ近くですので、酒蔵巡りのときについでにまわれますよ!