男根崇拝などの生殖器崇拝の神社が、実は熊本にもございまして…。その名を弓削神社といいます。祭神は孝謙天皇(こうけんてんのう、のちの、称徳天皇)で、五穀豊穣、家族円満、子宝、そして浮気防止にご利益があるとされています。
女帝である孝謙天皇は、道鏡(どうきょう)法師と言う僧を寵愛し、ともに政治をとりおこなっていたといいます。道鏡法師は孝謙天皇が病に臥せっていたとき、祈祷を行ってこれを治したので天皇に気に入られ、以後、政権の中枢に食い込んでいきます。ついには天皇になろうと画策して、失敗に終わっています。道鏡法師のことを、日本のラスプーチンという言い方をする人もいますね。
手水舎からして、男根だらけなので、特に女性のかたが知らずに来ると、かなり面食らうと思います。
これはまた大きい男根があります。子宝繁栄にご利益がありそうですね。
男性器、女性器に似せた木に願いを書いたものが、おびただしい数、奉納されています。棒状のものが男性器、板状のものが女性器を意味しています。
正直なところ、はじめて見たときには、生きた人の持つ執念、怨念のようなものに威圧されてしまいました。性器に釘が打ってあるのは、浮気防止のためということです。「呪」と書いてあるものもありますし…。あと、個人名を書いて、「○○○○と××××は別れろ!」というようなものも。
孝謙天皇は譲位し、一度は上皇となりますが、藤原仲麻呂の乱により淳仁天皇が廃位に追いやられたため、称徳天皇(しょうとくてんのう)として二度目の即位を果たします。この称徳天皇を後ろ盾に、道鏡は権力をふるいましたが、称徳天皇崩御によって権力を失い、熊本の弓削に落ち延びてきました。
淫蕩で知られた道鏡も、この地で、天皇の侍女であったお藤の方に惚れ込み、深く愛されたため、夫婦円満の象徴とされたようですね。お藤の方がこの地では神聖視されていたため、「藤」の字を名につけることが禁じられているようです。いわゆる避諱(きひ)、日本には古来から目上のかたの諱(いみな)、すなわち本名を用いることを避ける風習がありますので。
男根には、このようなかわいいものも…。
腰痛にご利益があるとされるミニ鳥居も。ちょっと、わたくしの体形では狭くてくぐれる気がしないのですが…。
弓削神社はじつはこの地に2つありまして、白川をはさんで対岸に、もう1つの弓削神社があります。この由来も含めて、翌週に語らせていただきたいと思います。