鎌倉中期に作られた、崖壁を削って作られた磨崖仏群(まがいぶつぐん)を今回はご紹介いたします。熊本で発見されているものとしては最古のものといわれています。
前回ご紹介した植木町の菱形池から、徒歩1分くらい。上の写真を撮影した位置から、少し左を向くと菱形池の入り口が見える感じです。磨崖仏を見るためにはこれを上りますが、このとおり柵も作られていますから、危なくはありません。
ふう・・・。危なくはないけど・・・そこそこ上るので、軽く息があがりましたよ。
どうですか!700年以上もの昔、鎌倉時代に彫られた阿弥陀如来像がこれこのように、現存しております。円台寺自体はすでにありませんが、そのときに彫られた像だけはいまも残っています。もっとも、磨崖仏は当時500体ほどあったといいますから、多くがすでに風化し、崩壊したものと思われます。
善光寺式阿弥陀三尊像。当時は彩色が施されていたといいますが、現在ではその痕跡も残っておりません。
蓮台に座す、阿弥陀如来坐像。こちらは、うっすらと赤い彩色の痕が残っていますね。
駒形にくり抜かれていたところにも、当時はおそらく阿弥陀如来像があったのでしょうが、風雨によって風化してしまっています。
熊本県指定史跡
円台寺磨崖仏群(昭和40年2月25日指定)円台寺は、比叡山延暦寺の末寺で、豊後国の守護大友能直によって建立された。
円台寺が栄えたのは鎌倉時代で、その後、一時衰えたが、応仁2年(1468)再興され、大永6年(1526)には大友義鑑によって
修造されたといわれている。円台寺の麓にある菱形池から、円台寺までの凝灰岩の崖面に、阿弥陀三尊立像を中心に
釈迦如来座像など大小の仏像が彫られている。作者は不明であるが、鎌倉時代の作で写実的で張りがある。
これらの中には、光背や龕中に黒、黄、赤の彩色を施したものもみられる。
以前はまだ数も多かったが、かなり崩壊したと思われる。
残された磨崖仏は県内でも最も古く、かつ優れたものである。
また、近くには建久4年(1193)と同7年の銘をもつ、石造笠塔婆(県指定)のほか、正嘉元年(1257)銘の
宝塔、塔身、天正6年(1578)銘の板碑などの古塔がある。
熊本県教育委員会
熊本の人は、自虐気味に「熊本には見るところがないから・・・」とよく言われますが、実はいろんな見どころがあるんですよ!むしろ熊本の人にこそ見てもらいたいような史跡などもたくさんありますから、観光ガイドつきタクシー「加来タクシー」に乗って、熊本を再発見してみませんか!