宮本武蔵が五輪の書を書いたとされる霊岩洞(れいがんどう)は、金峰山の西麓にある、熊本の人気観光地です。熊本市中心部からはかなり外れており、バスの本数も少なく、しかもバスで行くとかなり手前で下ろされるので(岩戸観音入口バス停から霊巌洞まで、急坂を1kmほど歩きます)、意外と行ったことがないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。自家用車があると行きやすいんですけどね。
霊巌洞は、雲巌禅寺(うんがんぜんじ)というお寺の裏山にありまして、この雲巌禅寺自体も、平安の歌人「檜垣」(ひがき)が日参したといういわれのある歴史のあるお寺さんとなります。実は、雲巌禅寺に安置されている岩戸観音は、お寺よりも歴史が古いものとなります。
この周辺はこのように棚田が広がっている地域でして、農村の醸すたたずまいがなんともいえません。近くには古民家カフェ「ココペリ」さんがあるので、雲巌禅寺・霊岩洞に行くまえにこちらで腹ごしらえするのも良いかもしれませんね。(写真左側がココペリさんの駐車場となります。)
参拝料は大人200円、子ども100円となります。宮本武蔵の使った木刀や書画などが展示されている宝物館も併設されております。
宮本武蔵は兵法家として有名になりましたが、多才なかたで、たくさんの芸術作品も残されています。
右から、「蘆葉達磨図」「枯木鳴鵙図」、いちばん左は武蔵の肖像画で、こちらは作者不詳となっております。※いずれも複製
檜垣女(ひがきおんな)の愛用品も収蔵されています。檜垣は、世阿弥の能『檜垣』によって知られるようになりました。歌人・檜垣の歌は、後撰和歌集に載っています。
年ふればわが黒髪も白川のみづはくむまで老いにけるかな
岩を削った道を歩いていくと、五百羅漢が広がります。宮本武蔵が生きていた時代にはまだなかったということです。
1つ1つのお地蔵様がすべて違う表情をしています。過去の地震などの影響で、首がおちてしまっているものも多数あります。
結構なアップダウンのある、古い石段を歩きますので、歩きやすい靴で来られるのをおすすめします。雨上がりなどは特に滑りやすくなります。
五百羅漢の見事さはカメラで写しきれませんので、ぜひその目で実際に広がる光景をご覧になってください。
霊巌洞までの道すがら、五百羅漢だけでなく、多数の石塔や石碑がたっています。熊本地震の影響はないわけではありませんが、大きく崩れて立ち入り禁止になったりしているところはないようです。
霊巌洞入口。ここがまた、かなりの急坂です。階段は右手のものより左手の奥側ほうが、昇降しやすいですよ。
岩戸観音にお参りする参拝客。木柵が設けられていて、すこし手前で拝むこととなります。
五輪の書を書いたとされる霊巌洞。この場所を堪能するために、長いすも用意されています。
武蔵がここで座禅を組み、瞑想にふけっていたであろう、船頭石です。よくパンフレットに載っていますね。
境内内には、名水百選に選ばれた「金峰山名水群」の祈念碑がたっています。【くまもと「水」検定1級】資格及び【くまもと「水」ガイド水守】資格を持っていますので、名水めぐりがしたいということでしたら、かなりマニアックなところにもご案内できますよ!
焔魔堂。奥に閻魔様が安置されています。
霊巌洞はパワースポットとしても有名ですし、宮本武蔵の足取りを追うもよし、熊本をおとずれるならば見ておくべき場所だと思います。バスで行くとかなり歩きますが、タクシーだと雲巌禅寺の入口まで乗せていけますので、足腰に自信がないという方や、時間に余裕がないという方は、ぜひ観光タクシーで訪れてくださいね。ていねいな解説付きでご案内いたします。