世界文化遺産候補「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産である、崎津集落を訪問いたしました。1569年、ルイス・デ・アルメイダ神父によってキリスト教の布教が行われたこの崎津集落では、1638年の禁教令以後、激しい弾圧を受けながらも250年間に渡って「潜伏キリシタン」として信仰が守られてきました。
江戸幕府による弾圧により、長く指導者(神父)不在であったため、日本文化と混ざり合い、日本独特のキリスト教文化が花開いていきました。たとえば、慈母観音像を聖母マリアに見立てて祀ったり(マリア観音と言われます)、聖具を「納戸神」として祀ったりしました。
【注意!!!】
現に地元住民の方が生活する集落自体に価値を見いだしている世界文化遺産候補ですから、来訪時には十分な配慮が必要です。集落内には観光駐車場がほとんどないため、集落内での渋滞発生などで現地に迷惑がかかっていると聞きます。お車で来場される際には、崎津集落ガイダンスセンターなどに駐車し、レンタサイクル(1日200円)を借りてまわるか、当社のような観光ガイドタクシーの利用をおすすめいたします。
崎津天主堂。
絵踏みが行われた﨑津村庄屋宅跡をハルブ神父が買い取って建てたのだと言われています。絵踏みが行われたのは、ちょうど祭壇の位置でした。
崎津天主堂の由来記。
昭和9年に建てられた、ゴシック様式の教会ですが、中は畳敷きという珍しい建築仕様も、見どころの1つです。なお、こちらを建築した建築家・鉄川与助氏のお孫さんである鉄川進さんは、現在、一級建築士として活躍されていますよ。
1927(昭和2)年に長崎の黒崎教会から崎津教会に赴任してきた、ハルブ神父の碑。
神父が黒崎教会からもってきたフランス製のオルガンは、古楽器製作者・平山照秋さんによって修復され、修復披露コンサートなども行われました。
せっかくの崎津の景観を存分に味わうためには、遊覧船(60分2,500円)がいちばんではないかと思い、天草漁協崎津支所を訪ねてみました。
屋根付きのクルーザーとかではなく、漁船になりますので、夏場は帽子や日傘のご用意があったほうがいいかもしれませんね。
水上から見た崎津天主堂。
遊覧船は1時間に1便となっていますが、漁協のかたの状況次第ではありますが、わりと柔軟に対応していただけるようです。
民家から湾に張り出した木組みの漁業作業場「かけ」も、水上ならよく見えます。
かけは、魚の水揚げ場所や魚干し、船の係留などに使われ、水に強いシュロの木で作られています。崎津地区は、海と山に挟まれていて土地が狭いため、少しでも土地を広くする工夫なのだと思われます。
海上のマリア像。これは遊覧船でなければ見ることができないものです。昭和49年に信者さんたちによって建てられたということです。
お土産には、崎津名物「杉ようかん」をどうぞ!琉球王朝中山王の使節から伝授されたと言われているもので、崎津地区では各所で販売されております。