山都町・清和文楽館で定期的に催されている人形浄瑠璃は、九州でも唯一、山都町でしかご覧になれないもの。
九州各地のツアー客が、これを楽しむため山都町に集まり、連日賑わいを見せています。ですが、意外と熊本の人でも見たことがない、という人は多いのではないでしょうか。
清和文楽は、江戸末期に山都町(旧・清和村)を訪れた淡路の人形芝居の一座から、村人たちが人形を買い求め、技術を習ったのがはじまりとされています。
人形を買い求めたのは、地元で浄瑠璃名人として知られた君太夫という人物。君太夫とその仲間たちは、浄瑠璃と人形劇をあわせた人形浄瑠璃を作り上げ、豊作祈願の奉納芝居として定着していきました。
清和文楽は明治末期に一度衰退しますが、昭和29年には清和文楽保存会が発足、昭和35年には文楽人形の技術者たちが熊本県無形文化財に指定されました。
そして、昭和54年には清和文楽人形芝居が熊本県の重要無形文化財に指定されたのを機に、「栗と椎茸と文楽の里」をキャッチフレーズに、清和文楽を用いた村おこしが行われるようになりました。
平成4年には、清和文楽の専用劇場である「清和文楽館」が誕生。現在、毎年200回前後の公演を行っています。
定期公演は第2、第4日曜日(7〜11月は毎週日曜日)の、13:30からとなっています。30名以上の団体であれば、定期公演意外の日時でも公演の予約ができます。(詳しい条件につきましては、施設にご確認ください。)定期公演のない日でも、大型スクリーンで清和文楽を紹介した映画を見ることができます(約25分)
建物自体も見物でして、テコの原理を応用した騎馬戦組み手工法と言われるもので、日本古来の伝統建築技術の粋を集めて造られています。
このような劇場ができるまでは、畑や庭先に筵を敷いての野舞台なども行なわれていたようです。
資料棟では文楽に関する資料を多数展示しています。本物の人形の頭を自分で動かすことが出来る体験コーナー、コンピューターで人形の動きを再現したロボット人形などがあり、公演がない日も楽しめます。
秋の行楽シーズンに、150年の歴史を誇る清和文楽を、ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。