小代焼ふもと窯~経産省指定伝統的工芸品

 

細川家の御用釜として生まれ、400年続いてきた、熊本県を代表する焼き物「小代焼」。「小岱焼」とも表記され、その名から推察されるとおり、「小岱山」の山麓で産出される材料を使っている焼き物です。

 

荒尾町や南関町をはじめとする熊本県北部で、さまざまな特徴の小代焼が作られています。共通する特徴としては、鉄分が多く含まれる粗めな陶土を、茶褐色の鉄釉で覆い、灰釉を流しかけるというもの。大胆かつ奔放な風合いが魅力です。

 

 

 

 

訪問時、陶工・井上尚之さんが作陶中でしたが、アポもなく突然見学にきた私たちを見て、わざわざ手をとめて熱心に説明をしてくださいました。

 

「なんでも聞いてくださって結構ですよ!」と、陶器づくりに素人な私たちの素朴な疑問にも丁寧に対応してくれ、作業している姿も作業場も自由に撮影してくださいとのこと。訪問時はお世話になりました。

 

 

皿に絵付けをしているところを、拝見させていただきました。まず、全体に柄杓で灰色の釉薬を流しがけします。

 

 

次に赤褐色の釉薬でデザインをいれていきます。お皿の形を作ってからじゃなくて、真っ平らな状態で絵付けをするんですね。

 

 

絵付けが終わり、窯で焼かれるのを待つお皿たち。窯では何千個という焼き物を一気に焼き上げるとのこと。

 

 

昔ながらの、薪を大量に使う「登り窯」にこだわっておられるので、燃料の薪代がかさむため、1個でも多く焼かないといけないんだそうで・・・。

 

 

連房式登り窯。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、日本に連れてこられてきた朝鮮人陶工からもたらされた技術と言われています。

 

内部温度が1300度にも達するため、壊れることも多く、補修しながら使い続けているんだとか。

 

 

連房式登り窯は、窯がいくつも連なっているような形状になっていますが、熱を伝えるための小さい穴があいているそうです。こうやって外から覗いた感じでは、熱を伝える穴の存在は確認できず・・・。あまり大きな穴が空いているわけではなさそうです。

 

 

店舗2階では、さまざまな小代焼の名品の数々が展示されていました。

 

 

その中でも、目玉となる作品がこちら。天皇皇后両陛下様ご注文(平成12年)の、46cmの大皿です。一方的に献上したのではないのですよ。

 

何枚か焼いたうち、もっとも出来映えの優れたものを、天皇陛下にお渡しされたとのことで、これはそのお渡ししなかったもののうちの1枚です。秋篠宮ご夫妻もご来店なされたこともあるとのことで、皇族からも小代焼が優れた焼き物であると認めてくださっているものと思われます。

 

 

もちろん店舗ではふもと窯で作られたものを買うことができます。小代焼のビールジョッキなんてのもありましたが、これは内側にだけ釉薬がかかっていないのが特徴で、ざらざらした表面がビールの泡立ちをよくしてくれるんだとか。

 

 

焼き物の好きな人だと、窯の見学や資料館の見学、買い物などで、余裕で1~2時間はかかるんじゃないでしょうか・・・。加来タクシーでは、焼き物好きの方のためのツアーなども企画できますので、お気軽にお声がけくださいね。