世界文化遺産・三角西港

 

平成27年に世界文化遺産に登録された三角西港が、今回の訪問地です。ホームページの背景写真も、ここで撮影してもらっているんですよ。

 

穏やかな三角ノ瀬戸の上には、架橋が進んでいる新天門橋が見えています。熊本天草幹線道路の整備の一環で、完成すれば、熊本市中心部と天草地域を90分で結ぶ計画なんだそうですよ!楽しみですね。

 

 

明治20年に完成した三角西港は、明治三大築港の1つに数えられていて、当時の石積みの埠頭が現存しているのはここだけなんです。この三角西港は、明治政府の殖産興業の政策に基づいて計画され、オランダ人水理工師であるローエンホルスト・ムルドルによって設計された、当時の最新技術で作られた港湾都市といえます。

 

築港のため投じられた人員は、実に石工13万8376人、大工8421人、人夫は5万591人、潜水夫300人とも言われています。築港には、物流を阻害する宇土半島の険しい山々が障害となりましたが、予算の半分を道路整備にあてることで、3年という短期間で築港を実現しています。

 

 

東排水路。1世紀前からのものが現存し、いまだに使われ続けているというのは、凄いことですし、素晴らしいことですよね。

 

石積みの埠頭は756mにも及び、水路や、西洋建築物などが現存しています。埠頭の石は、対岸の飛岳から切り出した安山岩を切石しています。

 

 

ムルドルハウス。水理技師の名前をつけたお土産屋さんですね。観光パンフレットなどもここで入手することができますよ。

 

 

角の丸みが、実に美しいですね。天草の石工が丹念に削り挙げて、この丸みを作り出しています。

 

 

東排水路にかかる石橋「三之橋」と、アコウの木。

 

写真手前部分には、当時は木橋がかかっていたと言われていますが、現在は失われています。

 

 

ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の紀行文「夏の日の夢」の舞台となった、浦島屋。当時の県知事である富岡敬明から、「立派なホテルを作って欲しい」という要請を受けた、小崎義明県会議員と、熊本の実業界の人々の共同出資で作られました。明治38年に解体され、中国の大連に運ばれましたが、平成5年、設計図を元に復元されました。

 

 

浦島屋の建築請負をした小山秀は、天草の御領大島出身で、長崎の大浦天主堂や長崎のグラバー邸を建設した方といえば、すごさが伝わるでしょうか。

 

 

平成26年に三角西港の資料館としてオープンした「龍驤館」。入館料は無料でしたが、平成29年4月1日(土)から入館料がかかるようになりました。

 

 

入館料200円がかかりますが、館長さんが港のなりたちや時代背景などを丁寧に説明してくださいますから、安いものではないかと思います。

 

天草一号橋のふもとで立地的には行きやすいですので、ぜひ一度石造りの港湾都市を散策されてみてくださいね。